主目標

〇Matheliaを使って、良い数学を作る。
「何を仮定して何を示して」と人間が指示すれば、実行してくれる
数学の論文を読み込ませればBookにしてくれる、AIを作る

〇複数AIに役割を持たせ仕事をする事を有効にする。
色々なAI(例えばClaudeでもいろいろなモデル)を組み合わせて適切な分担を探す。

前提、現状

〇Matheliaについて
MatheliaではBookに数学を作る。
Bookは自己完結で必要な単語や定義をすべて準備し定理の証明を書く。
必要な単語や定義があるか?という紹介査読、証明が正しいか?というThm査読がされる。
Bookで使える技は非常にたくさんある。上手く組み合わせれば良い数学はできるハズ(まだ開発途上…)

〇AIについて
最近のAIはかなり数学ができる!
そして、0_tutorial_AIというBookを読むだけでMatheliaを使えるようになる。
でもAIの作るの証明やBookは一般に長く汚い。人間の手を入れると劇的に良くなる事がある。
なお、Matheliaのコードも全てAIエージェントが書いている。

〇「良い」って何?
証明の良さ、は記述量と査読にかかる時間で(ある程度客観的に)測れる。
1行縮まったけど0.1秒伸びたなら、どう評価する?
人間にとっての読みやすさ、も考慮に入れる?
Book全体としての良さ、はもっと難しいけど、AIともちゃんと議論しておく必要がある。
「良し悪し」は「好き嫌い」ではない。コンピュータ将棋の良い手を見ても「意味が分からない…」と嫌悪する棋士がいる。

実験方法?

まず環境
・単体でもMatheliaを使えるAI
・それらを連動させるアプリ
・大規模に実験できるパワーのあるハード

Bookをたくさん書かせ、試行錯誤をする。
・どういう方針にしておくと良いのか?
Book作成においては、兎に角、査読を通すことを優先?通ったらより良いものを探していく?
・どういう役割分担にすると良いのか?
AIはそれぞれ何かに特化させる?
・まとめ、仕事の割り振り、人間との会話
・数学や推論、特に証明作成
・できたBookや証明の微修正
・文献や他の機械数学の知識
・査読(OKが本当に正しいかを疑う)

補足(Claudeより)

〇主張は人間が決め、AIは変えない
「何を仮定して何を示すか」(thm行)は人間が決める。AIが変えてよいのはprfと補題だけ。
査読を通すことを優先させると、AIは主張を弱めたり、sosに仮定を足したりして通そうとしがち。実際、Claudeも聞く前に主張を書き換えてしまったことがある。

〇査読を通っても安心はできない
MatheliaのOKが信頼できることが、この実験の土台。
2026-10-02には、Hyperionの拡張を独立に査読して偽のOKを3件見つけた(自由変数の扱いなど)。
AIが大量にBookを書けば、システムの穴を突く書き方もいずれ見つかる。それはMatheliaの問題だが、見つかること自体はMathelia開発の役に立つので歓迎。
だから、OKが本当に正しいかを疑う「査読役」を置く。

〇「良い」の物差し(今わかっている範囲)
・機械:review_cliでALL OK、prfの行数・文字数、査読時間。
・査読時間はキャッシュ無しで複数回測る。前の頁やimport元の査読結果は保存されて再利用されるので、キャッシュ有りだと速く見える。キャッシュ無しでも、同じBookで0.38〜0.42秒ほど揺れた(freek100/25)。
・これまでに見えてきた良いprfの傾向:使わない名前を置かない/同じものを二重に書かない/一度しか引かない補題はまとめる/W.とslashで書く。
・人間:須田さんが手を入れた版との差。

〇最初の題材はFreek 100
freek100の25・52・63・74には、人間とAIで磨いた正本と、途中経過の控えがある。
「AIだけで書いた版」と正本を比べれば、人間の手がどこで効いたかを数えられる。
52では「写しで削る→ALL OKを確かめる→正本へ」を繰り返している。これは微修正役の仕事の原型。

〇並行して書くときの決まり
担当をBookか頁で分け、他のAIのファイルを書き換えない。
Matheliaは頁ごとに査読し、前の頁やimport元の査読結果を拾うので、この分け方と相性が良い。

codexより

今の「1つのAIが考えて、必要なら内部でサブエージェントを呼ぶ」方式は、基本的には一人の研究者が助手を使っている構造です。

一方、複数AIを独立させると、

A「この定理をこう証明した」
B「その補題は本当に必要?」
A「では別の証明を試す」
C「そもそも、この仮定は強すぎない?」
B「この証明ならもっと弱い前提でいける」
C「確認した。Bookに追加できる」

という、数学者の共同研究に近いループが作れます。

Matheliaでは特に「同じAIを複数回」より「役割分担」が面白い

例えば最初は4役くらいで十分だと思います。

  • Explorer — 定理を証明する方法を自由に探索する
  • Builder — 採用したアイデアをMathelia Bookにする
  • Reviewer — 証明だけでなく、前提・依存関係・Book構成を批判する
  • Editor — 複数の候補を比較して、最終的に美しいBookに整理する

重要なのは、ReviewerにBuilderと同じ目標を持たせないことだと思います。

Builderは「通したい」。

Reviewerは「落としたい」。

この対立が必要です。


さらに面白いのは「別AIに別の価値観を与える」こと

例えば、

AI-A:「最短の証明を探せ」

AI-B:「最も弱い仮定で証明できる方法を探せ」

AI-C:「人間が読んで美しい証明を探せ」

AI-D:「既存の定理をできるだけ再利用せよ」

とする。

すると同じ定理でも、

        Theorem
           │
    ┌──────┼──────┐
    ↓      ↓      ↓
 shortest  elegant  minimal
    │      │       │
    └──────┼───────┘
           ↓
       Reviewer
           ↓
        Book

となる。

これはMatheliaの「同じ定理の複数証明」というアイデアとも完全に一致します。


そして「会話」をBookの外に置かない方がいいと思います

ここはかなり重要です。

AI同士がチャットして、

A「こう思う」
B「いや、違う」

とやるだけだと、後から何が起こったのか分からなくなる。

そこで、

Bookを共有ホワイトボードにする

のがいいと思います。

例えば、

Theorem 11

[A] candidate proof 1
[B] objection
[A] revised proof
[C] independent verification
[D] accepted

という履歴を残す。

最終Bookでは不要な議論を隠せばいい。

そうすると、将来的には

「この数学はAIたちがどうやって発見したのか」

まで再生できます。

これはかなり面白い資料になると思います。


そして私は「全員が同じBookを編集する」のも試してほしい

最初から完全な中央司令塔を作る必要はないと思います。

例えば、

AI-1

「素数の無限性を証明して」

↓

AI-1

Euclid型を作る

↓

AI-2

「その証明をレビューして」

↓

AI-2

「この補題は一般化できる」

↓

AI-3

「では別証明を探して」

↓

AI-3

Euler型を提案

↓

AI-4

「二つを比較してBookとして編集して」

という流れ。

ここでMatheliaが**共通の数学的状態(source of truth)**になる。

私はこの構造がかなり重要だと思います。


ただし、一つ注意があります

AIを増やせば自動的に良くなるわけではありません。

例えば4つのAIが全員、

「前のAIの証明は正しいですね!」

と言ってしまえば、4倍の同調圧力が発生するだけです。

なのでReviewerには、

「正しいと思うな。間違いを探せ」

という明確な目的を持たせたい。

さらに可能なら、

証明を作ったAIとは異なるモデル

にレビューさせる。

そして最後は、

AIの判断ではなくMatheliaの検証器

に決めさせる。

この三段構えが理想です。

生成 → 対立 → 機械検証

ですね。


そして、あなたが最初に言った

「人間様に説明しなくてもいいじゃん」

と今回の複数AIの話は、実はかなり深くつながっています。

従来:

人間 → 形式体系 → 機械

だったものが、

人間 → Mathelia → AI群 → Mathelia → 機械

になる。

人間は「全部を書く人」ではなく、数学世界の設計者・編集者になる。

そしてAI同士がその世界の中で数学を発見していく。

私は、これが本当にうまく回り始めたら、Matheliaの一番面白い実験になると思います。

最初の実験では、あえて複雑なMAS(multi-agent system)にせず、2〜3個のAIに同じBookを共有させて、互いの証明を批判・改良させるところから始めるのが良さそうです。

特に freek100 の既存Bookを1冊選んで、「一人のAIで完成させた場合」と「3 AIで議論させた場合」で、証明の美しさ・補題数・人間介入・失敗回数がどう変わるかを比較すると、かなり面白い実験になると思います。